市町村合併?・・・ワタクシの卒論の一部。
2002年9月29日市町村合併
<1、テーマ設定理由>
私は将来、政治について学びたいと考えている。その中でも特に興味があるのは地方自治の分野だ。地方自治を行うのは地方自治体、つまり都道府県と市町村である。現在、地方分権一括法から始まった市町村合併の推進により、その枠組みが大きく変化しつつある。私はこれに関連したニュースなどを見て、合併の問題点やこれからの市町村及び地方自治のあり方について調べ、考えたいと思った。
市町村は自治を行う最小単位のものであり、その基盤でもある。したがって市町村合併について研究することは、将来地方自治を学ぶための足がかりになるのではないかと考え、このテーマを設定した。
<2、市町村合併概要>
市町村合併とは、いくつかの市町村が一緒になって新しい市町村を作ること、またはある市町村が他の市町村を編入することである。
新設合併:A町とB町を廃して新しくC市を設置するような場合。この時、合併するA町とB町の法人格は消滅し、新しいC市という法人格が発生する。
編入合併:いわゆる吸収合併のこと。D町を廃し、その区域をE市に編入するような場合。
この時、編入されるD町の法人格は消滅するが編入するE市の法人格は特に影響を受けない。
※ 新設合併の場合、新しい市の名称は旧市町村名を用いても、新しく決め直してもよいことになっている(ただし、町村が合併により市になる場合は新設合併でも新しい名称をつける)。編入合併の場合は新しく名称を決めることはできず、編入する側の名称を用いなくてはならない。
また、1991年に合併した岩手県北上市、和賀町、江釣子村は新設合併という形をとりながらも、新しい市の名称は「北上市」を採用している。最近の静岡市・清水市の合併でも新しい市の名称を「静岡市」と定めた。
(1)法定協議会
法定協議会とは合併すべきかどうかを協議する機関である。必ず合併することを前提としているわけではないので協議の結果、合併をしないと決定を下すこともあり得る。
合併する方針が決まったら、合併後の市町村の将来図とその実現方法について「市町村建設計画」にまとめる。設置には関係市町村すべての議会の議決が必要である。構成員は関係市町村の議会の議員、市町村長、市町村職員、学識経験者などと定められている(合併特例法第3条)
(2) 合併の特例措置
2005年3月までに合併を行うと国から様々な優遇措置を受けることができる。この措置が多くの市町村を合併へと向かわせていることは明らかだ。その中で最も期待されているのは財政上の特例措置だろう。しかし、それ以外にも重要な措置が用意されている。
〇財政上の特例措置
? 合併特例債
合併後10年間、市町村建設計画に基づき財源として借り入れることができるお金である。通常は事業費の75%までしか借りられず、返済もすべて自己負担でまかなう。しかし、この特例債は事業費の95%まで借りることができる。事業の頭金が5%で済むのだ。さらにその利息分を含んだ返済額の70%を国が肩代わりしてくれる。
? 特別交付税
合併を機に行われる新しいまちづくりや、合併した市町村間の公共料金格差などの調整、コンピュータシステムの統一のために交付されるお金のこと。
? 合併市町村補助金
期限までに合併した市町村がモデル事業を行う場合、2000万円〜1億円の範囲で3年間に限り補助金が交付される。
※ 合併前にも合併推進事業や合併準備に対する財政措置が行われる。また、合併後3年間に限り地方税の不均一課税が認められる。
〇その他の特例措置
? 議員の定数・在任期間
新設合併の場合:1期目に限り新市の議員定数を本来の2倍に増やすことができる。
または、合併前の議員の任期が2年を限度に延長できる。
編入合併の場合:増員選挙及び次の一般選挙による議員の任期まで定数を増やすことができる。または、編入された市町村の議員の任期を編入先の議員の任期まで延長できる。
? 市に昇格できる条件
2004年3月までに合併する場合に限り、人口3万人以上という条件で市に昇格できる(本来は5万人以上)。また、その後2005年3月までに行われる合併に限り人口4万人以上で市に昇格できる。
<3、政府の目的>
日本では今まで2度の合併ラッシュがおこっている。1度目は明治22年に出された「市町村制」によるものだ。これは地方自治体を、行政を行うのに必要な規模にするために実施された。約300〜500戸で1つのまち、というのがその目安であった。この時、市町村の数は71314から約5分の1の5859になった。
2度目は昭和28年の「新町村合併促進法」及び昭和31年の「新市町村建設促進法」によるものだ。このときの合併は、戦後の新設中学校の設置や自治体の消防・警察の創設に関する事務を能率的に行うために実施された。その結果、昭和36年までに市町村の数は3472に減少した。
この明治・昭和の大合併に続く「平成の大合併」では、市町村の数を現在の約3200から1000にしようとしている。その政府の目的は主に次の3点である。
(1) 各地方自治体の「自治能力」の強化
地方分権がいよいよ実現の段階になっている。つまり、各地方自治体は「他人の金で他人のために」ではなく、「自分の金で自分のために」行政を行っていくことになる。したがって、これからは個々の市町村においてそれぞれ必要な政策を立案し、それを実行するための財源を確保することが求められる。それにはしっかりとした自治能力、自治基盤が必要である。
(2) 少子高齢化への対応
現在の日本では少子高齢化が急激に進行している。特に高齢化は顕著で、65歳以上の老年人口は2025年には27%にまで増加する見込みだ。それは税金を負担する人が減り、逆に税金を使う人が増える社会になることを意味している。さらに保健や福祉の分野で住民が自治体に求めるものは多様化・高度化してきている。その要求に対応するためには一定規模の人口を持ち、財源を確保することが必要だ。
(3) 国・地方を通じた財政状況の改善
政府が最も重要視しているのはこれだろう。2002年度の国・地方の累積債務は693兆円に達する見込みである。この状況を改善するには、様々な経費を見直し財源を生み出さなければならない。合併を促進すれば、10万人都市と比べて3〜5倍のコストがかかる非効率的な2万人以下の町村が減っていくだろう。大幅な歳出カットができるのは明らかだ。政府は市町村合併を「行政サービスの質を落とすことなく経費を削減し、財源を生み出す絶好のチャンス」と見て大きな期待をかけている。
<1、テーマ設定理由>
私は将来、政治について学びたいと考えている。その中でも特に興味があるのは地方自治の分野だ。地方自治を行うのは地方自治体、つまり都道府県と市町村である。現在、地方分権一括法から始まった市町村合併の推進により、その枠組みが大きく変化しつつある。私はこれに関連したニュースなどを見て、合併の問題点やこれからの市町村及び地方自治のあり方について調べ、考えたいと思った。
市町村は自治を行う最小単位のものであり、その基盤でもある。したがって市町村合併について研究することは、将来地方自治を学ぶための足がかりになるのではないかと考え、このテーマを設定した。
<2、市町村合併概要>
市町村合併とは、いくつかの市町村が一緒になって新しい市町村を作ること、またはある市町村が他の市町村を編入することである。
新設合併:A町とB町を廃して新しくC市を設置するような場合。この時、合併するA町とB町の法人格は消滅し、新しいC市という法人格が発生する。
編入合併:いわゆる吸収合併のこと。D町を廃し、その区域をE市に編入するような場合。
この時、編入されるD町の法人格は消滅するが編入するE市の法人格は特に影響を受けない。
※ 新設合併の場合、新しい市の名称は旧市町村名を用いても、新しく決め直してもよいことになっている(ただし、町村が合併により市になる場合は新設合併でも新しい名称をつける)。編入合併の場合は新しく名称を決めることはできず、編入する側の名称を用いなくてはならない。
また、1991年に合併した岩手県北上市、和賀町、江釣子村は新設合併という形をとりながらも、新しい市の名称は「北上市」を採用している。最近の静岡市・清水市の合併でも新しい市の名称を「静岡市」と定めた。
(1)法定協議会
法定協議会とは合併すべきかどうかを協議する機関である。必ず合併することを前提としているわけではないので協議の結果、合併をしないと決定を下すこともあり得る。
合併する方針が決まったら、合併後の市町村の将来図とその実現方法について「市町村建設計画」にまとめる。設置には関係市町村すべての議会の議決が必要である。構成員は関係市町村の議会の議員、市町村長、市町村職員、学識経験者などと定められている(合併特例法第3条)
(2) 合併の特例措置
2005年3月までに合併を行うと国から様々な優遇措置を受けることができる。この措置が多くの市町村を合併へと向かわせていることは明らかだ。その中で最も期待されているのは財政上の特例措置だろう。しかし、それ以外にも重要な措置が用意されている。
〇財政上の特例措置
? 合併特例債
合併後10年間、市町村建設計画に基づき財源として借り入れることができるお金である。通常は事業費の75%までしか借りられず、返済もすべて自己負担でまかなう。しかし、この特例債は事業費の95%まで借りることができる。事業の頭金が5%で済むのだ。さらにその利息分を含んだ返済額の70%を国が肩代わりしてくれる。
? 特別交付税
合併を機に行われる新しいまちづくりや、合併した市町村間の公共料金格差などの調整、コンピュータシステムの統一のために交付されるお金のこと。
? 合併市町村補助金
期限までに合併した市町村がモデル事業を行う場合、2000万円〜1億円の範囲で3年間に限り補助金が交付される。
※ 合併前にも合併推進事業や合併準備に対する財政措置が行われる。また、合併後3年間に限り地方税の不均一課税が認められる。
〇その他の特例措置
? 議員の定数・在任期間
新設合併の場合:1期目に限り新市の議員定数を本来の2倍に増やすことができる。
または、合併前の議員の任期が2年を限度に延長できる。
編入合併の場合:増員選挙及び次の一般選挙による議員の任期まで定数を増やすことができる。または、編入された市町村の議員の任期を編入先の議員の任期まで延長できる。
? 市に昇格できる条件
2004年3月までに合併する場合に限り、人口3万人以上という条件で市に昇格できる(本来は5万人以上)。また、その後2005年3月までに行われる合併に限り人口4万人以上で市に昇格できる。
<3、政府の目的>
日本では今まで2度の合併ラッシュがおこっている。1度目は明治22年に出された「市町村制」によるものだ。これは地方自治体を、行政を行うのに必要な規模にするために実施された。約300〜500戸で1つのまち、というのがその目安であった。この時、市町村の数は71314から約5分の1の5859になった。
2度目は昭和28年の「新町村合併促進法」及び昭和31年の「新市町村建設促進法」によるものだ。このときの合併は、戦後の新設中学校の設置や自治体の消防・警察の創設に関する事務を能率的に行うために実施された。その結果、昭和36年までに市町村の数は3472に減少した。
この明治・昭和の大合併に続く「平成の大合併」では、市町村の数を現在の約3200から1000にしようとしている。その政府の目的は主に次の3点である。
(1) 各地方自治体の「自治能力」の強化
地方分権がいよいよ実現の段階になっている。つまり、各地方自治体は「他人の金で他人のために」ではなく、「自分の金で自分のために」行政を行っていくことになる。したがって、これからは個々の市町村においてそれぞれ必要な政策を立案し、それを実行するための財源を確保することが求められる。それにはしっかりとした自治能力、自治基盤が必要である。
(2) 少子高齢化への対応
現在の日本では少子高齢化が急激に進行している。特に高齢化は顕著で、65歳以上の老年人口は2025年には27%にまで増加する見込みだ。それは税金を負担する人が減り、逆に税金を使う人が増える社会になることを意味している。さらに保健や福祉の分野で住民が自治体に求めるものは多様化・高度化してきている。その要求に対応するためには一定規模の人口を持ち、財源を確保することが必要だ。
(3) 国・地方を通じた財政状況の改善
政府が最も重要視しているのはこれだろう。2002年度の国・地方の累積債務は693兆円に達する見込みである。この状況を改善するには、様々な経費を見直し財源を生み出さなければならない。合併を促進すれば、10万人都市と比べて3〜5倍のコストがかかる非効率的な2万人以下の町村が減っていくだろう。大幅な歳出カットができるのは明らかだ。政府は市町村合併を「行政サービスの質を落とすことなく経費を削減し、財源を生み出す絶好のチャンス」と見て大きな期待をかけている。
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